注目トピック
「管理組合」とは?理事になったら何をするの?役割や管理会社との違いを解説
しかし、現在マンションの管理組合に所属している方も「管理組合とは何か」を詳しく説明できる方は多くはないのではないでしょうか。そこで、今回はマンションで生活していく上で知っておきたい『管理組合』について詳しく解説していきます。
マンションの管理組合とは
マンションにおける『管理組合』とは、マンションの管理を行うために区分所有者によって構成される団体のことをいいます。
「建物の区分所有等に関する法律」(いわゆる区分所有法)では、以下のように定められています。
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)
(区分所有者の団体)
第3条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。(後略)
したがって、区分所有者は管理組合に加入することが義務付けられており、区分所有者である限りは脱退することができません。区分所有者が他人に部屋を貸している場合についても、賃貸の入居者(賃借人)ではなく区分所有者が管理組合の構成員となりますので注意が必要です。
マンションの管理組合の役割
「マンションの管理」と一言でいっても管理組合の業務内容は多岐に渡ります。
代表的な役割として次の10項目が挙げられます。
1.管理規約の作成・改正
管理組合の重要な役割の1つに管理規約の作成・改正があります。
多くの人々がマンション内での共同生活を送っていく上でルールは欠かせないものです。分譲マンションでは区分所有者・居住者同士でのトラブルを防止し、スムーズな管理組合運営を行うためのルールとして『管理規約』を制定します。管理規約には、国土交通省が作成した「マンション標準管理規約」をもとに共用部分の範囲や使用方法、理事会の権限などの基本事項に加え、それぞれのマンションの状況に合わせたルールなどが定められています。
また、法律の改正や時代の変化により現行の管理規約では対応できなくなることが考えられます。そのため、それぞれのマンションの実情に合わせて定期的に管理規約を見直ししていくことも管理組合には求められます。
2.共用部分の点検及び計画修繕
マンションには、各戸の区分所有者が専有使用できる「専有部分」と、共用廊下や消火設備・エレベーターなど共同で使用できる「共用部分」があります。管理組合ではこの「共用部分」を定期的に点検し、計画的に修繕していくことも大切な役割の1つです。
具体的には、エレベーターや消防設備などの法定点検をおおむね6ヶ月~1年ごとに実施することが義務付けられているほか、建物や設備の調査診断を行った上で大規模修繕工事などの計画修繕を適切に実施することが求められています。特に、建物や設備については適切な時期に実施できるよう長期修繕計画に基づいて計画的に修繕・メンテナンスを行うことが大切です。
マンションの長期修繕計画についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
3.共用部分の改良・改修(グレードアップ)
マンションの資産価値を維持するためには、劣化や不具合の起きた箇所を「修繕」する必要がありますが、併せて時代とともに変化する住宅水準に見合うようマンションの性能や機能をグレードアップする「改良」や「改修」も求められます。
「修繕」「改良」「改修」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
例えば、「改良」はエントランスの手動ドアを自動ドアに変更すること、「改修」はエレベーターやスロープを新しく設置することなどがあたりますが、これらの改良・改修工事も管理組合が管理を行います。劣化した設備を新しくしたり時代にあった設備を導入することは、マンションの資産価値向上のためにもとても重要な役割です。
4.管理費・修繕積立金の管理
マンションの区分所有者は、月々の管理費や修繕積立金を払わなければなりません。それらのお金の管理をするのも管理組合の役割です。
管理費は日々の掃除にかかる費用や共用部分の光熱費、法令点検、火災保険料などに使用します。マンションの管理業務を委託している場合は管理会社への支払いに充当されます。
一方で、修繕積立金は大規模修繕工事や設備の交換、改良・改修工事などに使用します。長期修繕計画と照らし合わせながら、修繕積立金は確保できているか、あるいは長期修繕計画に変更点はないかなども随時検討していく必要があります。
修繕積立金についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
5.建物の管理に関わる設計図などの書類の管理
新築の際に作成された図面や、これまでの修繕記録が分かる資料なども管理組合が責任をもって管理を行います。これらの書類は修繕工事を行う際や建て替えを行う際に重要な資料となります。図面には多くの種類があるため、保管の際はリストを作り図面の保管先を明確にしておきましょう。また、管理会社や施工会社に貸し出す際は記録に残し紛失しないよう管理することが大切です。
6.安全で快適に暮らすための防犯・防災
マンション居住者の防犯や防災の意識向上をはじめ、いざというときに自助・共助がスムーズに行われるようにすることも管理組合の役割です。そのために防犯パトロールや消火訓練、防災マニュアルの作成を行うほか、居住者間の繋がりを深めるためにイベントを企画することも有効です。
管理組合として備えたい防災対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
7.官公署や町内会とのやりとり
管理組合は町内会や官公署との窓口になることもあります。町内会で町内運動会などのイベント事がある際は、イベント窓口としての役割も管理組合が担います。また、官公署へ届出をしなければならないことが発生した際も管理組合の役割として行います。
8.トラブル防止のため専有部分の管理
基本的に管理組合の役割として管理するのは共用部分だけですが、専有部分の配水管や火災報知機の点検なども管理組合主体で行うことが一般的です。これらは専有部分にありますが、もし故障していたりした場合には、大きなトラブルにつながる可能性があるためです。
9.建物を建て替える必要が出た際の区分所有者への説明や調査
建物が劣化し、一部もしくは建物全体の建て替えが必要になった際は、マンションの区分所有者の一定数以上の賛成がないと建て替えることができません。そのため専門家へのマンションの現状調査の依頼や、情報を集めて区分所有者への説明を行うのも管理組合の役割です。
マンションの建て替えについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
10.管理組合が解散した際のお金の管理
管理組合は、マンションの区分所有者から管理費と修繕積立金を預かり、活動を行っています。しかし、建物の老朽化などでマンションを建て替えることになった場合、建て替え前のマンションはなくなるので、管理組合も解散になります。その場合は、区分所有者から預かっているお金を清算しなければなりません。その時の状況に合わせてどのように清算するかを決めるのも管理組合の役割です。
理事になったら何をするの?
業務内容が多岐に渡る管理組合ですが、業務を執行する機関として「理事会」が設置されます。実際の業務については管理組合を代表してこの理事会が行うこととなります。一般的に1~2年ごとに理事長や副理事長、会計などの役員が選任されます。
また、必要に応じて専門の委員会が設置されることもあります。例えば代表的な委員会が「修繕委員会」です。修繕委員会は、大規模修繕工事など修繕に関する協議を行うことを目的に立ち上げられます。管理組合の代表として、施工会社を決めるところから工事完了時の検査まで幅広く対応していくことが必要です。
管理組合と管理会社の関係
ここで、「管理費を払っていれば、管理会社がマンションの管理をしてくれているのでは?」と疑問に感じる方もいるかもしれません。清掃や管理、設備点検などの管理業務を行う管理会社は、管理組合と委託契約を交わした上でマンションの管理を代行してくれています。もちろん、管理会社とは契約せず自分たちで管理業務を行う「自主管理」と呼ばれる形のマンションもあります。委託しても自主管理でもあくまでもマンションを管理する立場にあるのは、マンションの所有者である『管理組合』の役目になります。
マンション管理については「管理会社がやってくれているから」と、あまり考えてこなかった方も多いと思いますが、マンションを管理する主体は管理会社ではなく、あくまでも管理組合なのです。
マンション管理は他人事じゃない
今回は「管理組合」とは何か、どのような役割があるのか、理事になったら何をするのかなどについて詳しく解説してきました。
あくまでもマンションは管理組合のものであり、その資産価値は組合員一人ひとりの資産価値に影響します。マンションは自分の資産でありマンション管理は自分の資産を守るための重要な仕事です。
マンションで快適に暮らすためにも、自分の資産価値維持・向上のためにも、管理組合の活動に積極的に関わっていきたいですね。