マンションの適正管理が資産価値に影響する?!|管理計画認定制度とは

マンション管理適正化法が改正され、2022年4月から管理計画認定制度がスタートしました。この制度によってマンションの管理計画について行政が助言や指導を行い、マンションの管理の適正化を図り、それによって資産価値を向上させることが期待されています。管理計画認定制度とはどのような制度なのか、管理組合にとってどのようなメリットがあるのかについて解説していきます。

目次

管理計画認定制度とは

管理計画認定制度は、マンション管理組合の運営実態や長期修繕計画を含むマンション管理計画が一定の基準を満たす場合に、管理組合が地方公共団体から適切な管理計画を持つマンションとして認定を受けることができる制度です。

管理計画認定の有効期間は、認定を受けた日から5年間。マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)の一環として20224月よりスタートし、地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を作成した地域においてのみ認定を受けることができます。

管理計画認定制度の認定基準とは

今回のマンション管理適正化法の改正では、国土交通省より助言・指導を行う判断基準の目安及び管理計画認定の基準が定められました。管理計画認定制度においてはマンションの管理状態や管理組合の運営状況に対して助言・指導が行われます。

ポイントは、建物や設備などのハード面ではなく、管理などのソフト面に対する助言・指導が行われる基準が設けられたという点です。
以下は国交省が定める認定基準の中から一部抜粋したものです。

<管理計画認定の基準>

(1)管理組合の運営

管理者等が定められていること
監事が選任されていること
集会が年1回以上開催されていること

(2)管理規約
管理規約が作成されていること
災害等の緊急時や管理上必要な時の専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められていること
管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(又は電磁的方法による提供)について定められていること
(3)管理組合の経理

管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること
修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと
直前の事業年度の修了の日時点における修繕積立金の3ヶ月以上の滞納額が全体の1割以内であること

(4)長期修繕計画の策定及び見直し等

長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、その内容や修繕積立金額について集会(総会)で決議されていること
長期修繕計画の作成又は見直しが7年以内に行われていること
長期修繕計画の計画期間が 30 年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること

(5)その他

組合員名簿(区分所有者名簿)及び居住者名簿を備えるとともに、年1回以上更新していること
都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること

国土交通省「マンションの管理の適正化の推進に関する法律第5条の3に基づくマンションの管理計画認定に関する事務ガイドライン」(令和6年9月改定)

また、管理計画認定制度の認定基準には、国の基本方針で定められた項目に加えて地方公共団体で独自に設定する審査基準が設けられる場合があります。

管理計画認定制度を活用するメリット

管理計画認定を取得するとどのようなメリットが得られるのか見てみましょう。

区分所有者の管理への意識が向上し、マンションの管理水準向上につながる

管理の適正化に向けた基準が明確になり、管理組合の目標設定がしやすくなる

適正に管理されたマンションとして市場において評価され、資産価値向上が見込める

住宅金融支援機構の「フラット35」や「マンション共用分リフォーム融資」の金利引下げ対象となる

・住宅金融支援機構が発行するマンションす・まいる債」の利率上乗せが実施される

・一定の大規模修繕工事を実施した場合に固定資産税額が減額される

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認定を取得するための手続き

管理計画認定制度の申請手続きには大きく分けて オンライン申請(事前確認)窓口での申請 2つの方法があります。
なお、申請にあたっては総会決議が必要となるので注意しましょう。

オンライン申請(事前確認)

パターン① マンション管理士を通じてマンション管理センターへ依頼

パターン② 管理会社を通じてマンション管理業協会へ依頼

パターン③ 日本マンション管理士会連合会へ依頼

パターン④ 公益財団法人マンション管理センターへ依頼
「管理計画認定手続支援システム」を利用し、インターネット上の電子システム上で事前確認の申請を行います。事前確認を受けることで地方公共団体への申請もオンラインでそのまま行うことができるため、スムーズに認定が取得できます。
※詳しくは公益財団法人マンション管理センター ホームページをご確認ください。

申請者の意向でいずれのパターンでも申請可能ですが、管理会社に管理委託しているマンションの場合、申請に必要な書類や情報を保有している管理会社へ事前確認を依頼するケース(パターン②)が想定されます。
詳しくはこちらをご覧ください。

窓口での申請

オンライン申請ではなく、直接地方公共団体へ申請することもできます。必要書類を準備し、市区の場合は各市区、町村の場合は各都道府県の窓口にて申請します。
詳しくは各市区・各都道府県のホームページをご覧ください。

<管理計画認定制度 まとめ>

運営

地方公共団体(市区の場合は各市区、町村の場合は各都道府県)

対象

分譲マンション
※ただし、認定を実施する地方公共団体のみで実施
※公益財団法人マンション管理センターより新築マンションを対象とする「予備認定」も創設されています

有効期間

5年間

申請方法

オンライン申請(管理計画認定手続支援サービス利用時)または窓口での申請

費用

地方公共団体が手数料を定めている場合に限り発生します

 

<管理計画認定手続支援サービス まとめ>

運営

公益財団法人マンション管理センター

費用

● システム利用料:10,000(税込)

● 事前確認審査料:申請パターンにより異なります

●(地方公共団体が手数料を定めている場合の手数料)

URL

公益財団法人マンション管理センター ホームページ
https://www.mankan.or.jp/11_managementplan/mpsupport.html

 

冒頭でも申し上げたように、認定を受けるためにはマンションが所在する地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している必要があります。まずはお住まいのマンションの地方公共団体(市区の場合は各市区、町村の場合は各都道府県)が管理計画認定制度を実施しているかどうかを確認しましょう。

また、名前が似ているため混乱しそうですが、管理状態や組合運営の質が市場で評価される「マンション管理適正評価制度」というものもあります。こちらは管理計画認定制度を運営しているマンション管理センターとは別に、マンション管理業協会が主体となって運営している制度です。


マンション管理適正評価制度.png

「マンション管理適正評価制度」についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
 

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これまでマンション管理というソフト面については、客観的な判断基準がありませんでした。今回管理計画認定の基準が示されたことで、管理組合がマンションを適正に管理するための具体的な指標が生まれたといえます。

今回ご紹介した管理計画認定制度を活用し、認定基準をお住まいのマンションと照らし合わせて改善点を明確にすることで管理水準を向上とともに、マンションの資産価値向上を実現させましょう。  

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