分譲マンションの建て替え | よくある失敗事例と成功させるために管理組合がやるべきこと

目次

前回の修繕成功Magazine「分譲マンション再生における合意形成の課題とは? | 『建て替え』の流れや手続きについて解説 」では、『マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション建替法)』に基づいて分譲マンションの建て替えを進める場合の流れや手続きについて解説しました。

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費用負担や合意形成の難しさなどがハードルとなったり、適切な修繕や改修が行われることで長持ちしたりと、既存マンションのストック棟数と比べると圧倒的に事例が少ないマンションの建て替えですが、建て替えが必要となったときに備えて、計画倒れにならないよう今からできることはないのでしょうか。ここでは、いずれは多くの分譲マンションの検討課題にあがるであろう『建て替え』に備えて、管理組合がやるべきことを解説していきます。

マンション建て替えの現状

建て替えに関する法整備がなされてもなお、圧倒的にマンションの建て替え事例が少ないのはなぜでしょうか。マンション建て替えの現状として、特に建て替え前の「決議」と「合意」の段階で計画が中倒れとなってしまうケースが多いようです。

  • 区分所有者及び議決権の5分の4以上の賛成が得られない
  • 建て替え派と反対派が対立し、建て替えの話が見送りになる
  • 決議には賛成したが、その後の手続きに協力しない区分所有者が出てくる
  • 決議後、一部の反対者が売渡しに応じず訴訟に発展する 等

 

このように、建替えを検討し始めてから実現するまで度重なる検討・決議の繰り返しで非常に長い年月を要する上に、決議後も区分所有者全員の協力が必要であり、実施が難しい現状があります。

 

なぜマンション建て替えの合意形成は困難なのか

建て替えの合意形成が困難な要因としては、以下のような問題があります。

  • 区分所有者の建て替えへの意欲に差がある
  • 関心が薄い区分所有者への説明や話し合いが十分に行えない
  • 建て替え後に容積が減少する(部屋が狭くなる)場合がある
  • 建て替えに要する費用を用意できない区分所有者への対応
  • 建て替え不参加者は売り渡しに応じる必要がある
  • 建て替えをする際の仮住居確保の問題や引越作業の負担
  • 区分所有者の多様な個別事情への対応が困難(高齢化、相続問題等) 等

     

将来の建て替え検討に向けて、管理組合がやるべきこととは

長期修繕計画は一般的に25~30年分作成するとされていますが、“築何十年まで修繕で対応することができるか”といったことまで長期修繕計画に組み込んでいるというマンション管理組合様は少ないでしょう。一つの目安として数年後に築30年迎えるマンションは、築何年まで修繕をして住み続けられるのか、建て替えをするならいつ頃が良いのか等、お住まいのマンションの将来設計について考えてみてはいかがでしょうか。早めにマンションの方針を検討しておくことに越したことはありません。先にマンションの将来設計が決まっていれば、それに向けて費用や耐久性に無駄のない修繕計画を立てることが可能となります。

また、建て替えだけに限らず、様々な意思決定の場面においてもマンション管理組合内のコミュニティを良好に築いておくことには大きなメリットがあります。日頃からコミュニケーションを取り合い、総会などでは「各自の主張のぶつけ合い」または「無関心層の集まり」ではなく「皆で話し合って決める」ことができる環境と関係性を築きあげていくことが大切です。自分たちのマンションの課題は何なのか、修繕・改修・建て替えなど将来的な計画はどのようになっているのかなど、一人ひとりが認識するとともに話し合えることが、将来の建て替えに備えて今からできることなのです。
”コミュニケーションを取り合う”というと当たり前のように聞こえますが、多くの管理組合様の課題ともなっていると思います。管理組合機能がしっかりしていることに加えて、良好なコミュニティ形成を維持することが、お住まいのマンションの将来の方向性を大きく左右するのではないでしょうか。

 

もちろん、マンションの老朽化問題を解決するためには、建て替え以外にも大規模修繕や改修、最終的には敷地売却など様々な方法があります。区分所有者の意見を集めて、お住まいのマンションに合ったマンション再生の方法を検討しましょう。



まとめ

マンションが老朽化した時、修繕や改修を重ねていく・建て替えをする・敷地売却をする等、マンションを再生させる方法はいくつかあります。マンションの資産価値を区分所有者全員で守っていくためには、マンションの長期的な修繕計画について一人ひとりが関心を持つことが大切なのです。

 

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