マンション管理費の相場はどのくらい?具体的な使い道や修繕積立金との違いも解説

分譲マンションを購入して住み始めると毎月負担しなくてはならない「管理費」。区分所有者はローン返済に加えて、マンションを維持・管理していく上で必要となる管理費や修繕積立金を毎月支払う必要があります。ご自身の資産であるマンションを守り、安全・安心・快適な暮らしを維持するための「管理費」についてどのようなことを知っておく必要があるのでしょうか。

今回は、マンションの区分所有者が支払う費用の1つである「管理費」について、使い道や相場、修繕積立金との違いなどを説明します。記事を通して管理費の使い道などを正しく理解することで、ご自身の大切なお住まいや家計について考えるきっかけになるのではないでしょうか。

目次

マンションの管理費とは

管理費とは、マンション共用部分の日常管理のために使われる費用です。
管理費の額は共有部分の持分割合(一般的には専有部分の面積)に応じて算出されます。専有部分の面積が広い方が管理費の負担が多くなるということです。

また、1階に住んでいてエレベーターをあまり利用しないという場合も関係なく管理費を負担しなければなりません。マンションで安心して暮らしていくために日々の維持・管理は必要不可欠であり、管理費は全員平等に負担する必要があります。

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マンション管理費の主な使い道

マンションの管理費は具体的に何に使われているのか、主な使い道を見ていきましょう。

 

1.管理会社への管理委託費

身近な管理費の使い道として共用部分の清掃を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)では管理組合員でマンションの管理業務を行うこととなっていますが、多くの管理組合ではすべてのマンション管理業務を賄いきれないため、マンション管理の専門家である管理会社に業務を委託しており、清掃業務もそのうちの一つです。どこまで管理会社に委託するかはマンションにより異なりますが、管理費支出の多くの割合を占めるのが「管理会社への管理委託費」です。

 

管理会社が代行する主な管理業務は次の通りです。これらの業務を行うための費用もすべて管理費から支払われています。

l  管理員業務
受付(各種使用申込や鍵の貸出など)、建物・設備の点検、ゴミ搬出時の立会いなど

l  清掃業務
共用廊下・エントランス・ゴミ置場などの清掃など

l  建物・設備の管理
建物の定期点検、設備(エレベーター・給排水設備・消防用設備・機械式駐車場など)の保守点検・メンテナンスなど

l  管理組合の会計・収支管理
収支予算・決算案の素案作成、収支状況の報告、管理費等滞納者に対する督促など

l  共用部分に関する修繕の企画・実施の調整
長期修繕計画案の作成・見直しなど

 

2.日常的な維持・管理のための費用

電球や蛍光灯、掃除用具、トイレットペーパーなどの共用部分で使用する消耗品や、日常的な補修(損傷箇所の軽微な補修・修理)、共用部分の水道代や電気代などにかかる費用も管理費から支払われます。管理費の節約を検討している場合は水道光熱費など身近な費用をまず見直してみるのも良いかもしれません。近年は大規模修繕工事時に共用部分の照明をLEDに変更するマンションも増えています。

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3.税金や保険料

マンションの維持・管理を目的とした費用である管理費は通常「非課税」ですが、駐車場の外部貸付や広告看板などで収入を得ている場合は消費税の「課税対象」です。このような収益事業を営む管理組合の場合はこれらの税金も管理費から支払われます。

また、マンション共用部分を補償対象とする火災保険などの保険料も管理費から支払われます。どのような保険に加入しているかはマンションごとに異なりますが、多くの管理組合では火災保険や地震保険、施設賠償責任保険に入っていることが多いでしょう。これらの保険に入っていないと、火災などの自然災害による損害や建物の不備によって居住者・第三者に怪我をさせてしまった場合などに莫大な費用が発生してしまいます。まずはご自身のマンションがどのような保険に加入しているか確認しておきましょう。

 

マンションで加入している保険の種類について詳しくはこちらの記事で解説しています。

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4.専門家への依頼費用

大規模修繕工事の実施時期や適切な修繕積立金を設定するために作成される長期修繕計画の作成や見直し、トラブル発生時の弁護士への相談といった、第三者機関である専門家やコンサルタントに依頼する費用も管理費から支払います。

長期修繕計画は、5年ごとに見直すことが推奨されており費用も10万円~のため大きい支出に感じるかもしれませんが、専門的かつ客観的な立場で修繕計画をサポートしてくれる専門家がいることは大きな助けとなります。大規模修繕工事をいざ実施するという時に費用が足りなくなると、一時金の徴収や銀行への借り入れが必要になり結果的に区分所有者にとって大きな負担となってしまうため、建物の劣化状況に合わせて修繕計画を見極めることが重要です。

 

長期修繕計画について詳しくはこちらの記事で解説しています。

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5.管理組合運営のための費用

総会や理事会を開催するための施設代やお茶代、資料の印刷代などの費用、役員報酬を定めている場合はその費用なども管理費から支払われます。役員報酬とは、理事長になった場合のみまたは理事などの役員になった場合などに支払われる特別な報酬のことで、理事の担い手不足を解決するために管理組合独自で役員報酬を定めている場合があります。

また、一部のイベント費用も管理費から支払われますが、趣味の集まりなど親睦を目的としたものは個人負担、防災訓練や清掃イベントなどのマンション管理に関わるものは管理費負担といった違いがあります。

 

管理組合の役割についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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管理費と修繕積立金の違い

マンションを区分所有すると、管理費の他に「修繕積立金」を毎月支払う必要があります。「管理費」と「修繕積立金」の2つの違いは用途や使用目的にあります。

管理費はその名前の通り、マンションを維持・管理するための費用です。先ほどからの説明の通り、管理費は日常的な清掃や共用設備の保守点検・メンテナンスなど、日常的な維持・管理のために使われます。

一方、修繕積立金は大規模修繕工事など、長期修繕計画にもとづく共用部分の修繕工事のための費用として集められています。修繕積立金はあくまでも建物や設備の劣化した箇所を修繕するために積み立てておく費用のことで、日常的な補修やメンテナンスなどは管理費から支払われるため注意が必要です。

 

修繕積立金について詳しくはこちらの記事で解説しています。

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マンション管理費の相場はどのくらい?

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それでは、実際に管理費の相場はどのくらいでしょうか。国土交通省が発表した「平成30年度マンション総合調査結果」によると、管理費(駐車場などの使用料・専用使用料からの充当額を含む)の全体平均は、月額15,956/となっています。

 形態別に見ると、単棟型で16,213/戸、団地型で14,660/戸の月額平均となっており、エレベーターや機械式駐車場などの共用設備の有無が管理費に影響していることが分かります。また、コンシェルジュが配置されている、フィットネスジムやワークスペースなどの共用施設があるというように、サービスが充実しているマンションやタワーマンションでは管理費が高くなる傾向にあります。

 一方、修繕積立金(駐車場などの使用料・専用使用料からの充当額を含む)の相場は月額12,268/戸となっており、管理費と修繕積立金を合計すると毎月3万円弱が相場と言えるでしょう。どちらも毎月の固定費として家計にも影響の大きい支出ですので、それぞれの費用の使い道をきちんと理解しておくことが大切です。

 

「管理費」を正しく理解して快適なマンション暮らしを

「マンションは管理を買え」という言葉があるように、安全・安心・快適な暮らしを維持するためにはマンションを適切に管理することが重要です。今回の記事では、マンションを維持・管理していく上で必要な費用の1つである「管理費」の使い道や相場、修繕積立金との違いなどについて解説しました。

 

管理費に限らずマンションの管理に対してあまり関心がない方もいらっしゃるかもしれませんが、お住まいのマンションの管理費がどのように使われているのか、間違った使い方や無駄な使い方がされていないか一度チェックしてみると良いかもしれません。忙しくて総会に出席できないという場合は、議事録や収支内訳などの資料で確認することも可能です。マンションの管理費は区分所有者で出し合った大切なお金ですので、使い道を正しく理解して適切に管理することが大切です。

 

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